日本バレーボール学会 2013年バレーボールミーティング報告
会期 | 2013年8月18日 |
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会場 | 城西大学坂戸キャンパス3号館101教室・城西大学総合体育館 |
テーマ | 「効果的なコーチングを考える ~体罰・暴力の根絶をめざして~ 」 |
2013年8月18日(日)、城西大学坂戸キャンパス・城西大学総合体育館において、効果的なコーチングをテーマに、シンポジウム、オンコートレクチャーが開催された。
今回は、埼玉県バレーボールスポーツ指導者協議会(義務研修会)と共催することで、当日は151名の参加者が集まり、テーマを通じてバレーボール指導現場を見つめなおす機運の高さがうかがえた。
セッションレポート
10:10~12:10 第1部(シンポジウム)
司会:黒川貞生(明治学院大学)、吉田清司(専修大学)
演者:スポーツ法学の観点から 森 浩寿氏(大東文化大学)
現場におけるコーチングの観点から 松永 敏氏(平成国際大学)
体育科教育学の観点から 出井雄二氏(明治学院大学)
シンポジウムでは、司会者からシンポジウムの趣旨は①指導現場での体罰・暴力に焦点を当てる。②効果的なコーチングとは何かを考える。③体罰・暴力の問題を通じて現場の指導を見つめなおすことであることが述べられた。
森 浩寿氏は、体罰禁止の理由、体罰禁止の取り組み、文部科学省・スポーツ界の動き、体罰論争における課題等について解説していきました。体罰・暴力に関する法的根拠があるのに社会の中で「なぜ」体罰等が多く行われてきたか、その背景に社会の中で、日本の司法、警察、裁判所等は、体罰に寛容であったがために、体罰が社会、学校に定着していった経緯があるのではないかと指摘された。
松永 敏氏は、過去のスポーツコーチング経験からコーチは何故体罰を与えるのか、体罰なしのコーチの条件、体罰なしで選手を育てるコーチング、Teaching・Coachingの使い分けについて解説していただいた。
特に体罰なしの成功するコーチの条件として、①自己研鑽を積み、知識・理論に基づいた説得力を身につけ、言葉や模範動作で選手が納得する指導力をつけると共に、選手から「あっそうか」「なるほど」と思われることが、効果的なコーチングの要素の1つになるのではないと提案された。
出井雄二氏は、「優れた体育授業」「優れた体育教師」をキーワードに、効果的なコーチングの在り方について以下の事が述べられた。
- よい体育授業の特徴から考える効果的なコーチングは、バレーボールの指導にも生かせる。
- 指導場面における明確な目標とそこに至るまでの細かなステップが用意されている。
- 提案を柱とした、「具体的にはどうしたらいい?」「何を」「どこまで」「どうすればいいのか」といったを問いかける指導方法が必要である。
13:10~15:10 第2部(オンコートレクチャー)
司会:川田公仁(つくば国際大学)、松井泰二(早稲田大学)
講師:城 成人氏(大阪堺市立宮山台小学校)
実技協力:狭山トライキッズ、ミナミJVC,加納ジュニアバレー
午後のオンコートレクチャーでは、初心者(小学生・中学生)の効果的なコーチングをテーマに城 成人氏が狭山トライキッズ、ミナミJVC,加納ジュニアバレーの選手達を使いながら、下記の内容が紹介された
①子どもを守るための「管理」安全管理、健康管理、危機管理について。
②どんなときに体罰・暴力が発生するのか
③実技:子ども達と一緒にやってみませんか。子どもの気持ちもわかるかな。やってみると難しい、できないことは触れないで、
④「易より難へ」
1)バレーボールの動きにつながるいろいろな遊び(運動)・ジャンケン、レスリングごっこ、ボール取り、言うこと一緒ゲーム、風船バレー等、
2)サーブ&サーブレシーブ(レセプション、パス)
3)スパイク&プロック
4)アンダーハンドパス
5)オーバーハンドパス
⑤個々のスキルをゲームにいかす例
⑥指導者の皆様によせて
ベストコーチとは、個人やチームのよいところを伸ばしてくれて、個人やチームの弱点を正確につかみ、アドバイスができ、聴く力、納得させる力を持っていることが条件ではないかと提言があった。
以上のような内容で、オンコートレクチャー会場は、協力チームと協力チームスタッフの方々がコーチいっぱいに大声を張り上げ、新しいバレーボールコーチングが始まる気配を参加者から感じられた。
【文責】明石正和(城西大学)